首肩周辺の症状
ご相談の多いお悩み
- 首を回すと痛みが出る。
- 痛くて上を見上げることができない。
- 肩こりを繰り返している。
- 背中が苦しくなることがある。
- 腕を上げることができない。
- 首肩の痛みと、頭痛の症状がある。
など
以上のように
- 肩だけの痛み
- 首から肩にかけての痛み
- 肩から背中にかけてのこりや痛み、はり
など、ピンポイントで肩だけ症状が出ている場合と、首や背中まで広範囲にわたって症状が出ている場合があります。
また、痛みが慢性化してくると、頭痛や吐き気などを併発するだけでなく、眠れなくなったり不安やストレスからうつ状態になるケースも少なくありません。痛みにとらわれて、症状がより重くなるという悪循環が生まれます。
首肩のこり・はり・痛みの原因
首の後ろから肩、背中にかけてある幅広い筋肉を「僧帽筋」といいます。
首肩のこりや背中にかけてみられる筋肉のはりは、この僧帽筋に過度なストレスがかかっている可能性があります。
また「腕が上がらない」「腕を回すと肩が痛い」という場合、肩関節に問題がある場合も考えられます。
肩関節は、私たちの体の中で最も広範囲に動かすことができる関節です。多数の筋肉や腱・靭帯、関節包(関節を包む膜)によって作られています。
肩に限らず、関節運動を作っている筋肉・腱・関節膜は、年齢を重ねるとともに老化し、損傷しやすくなっていきます。首肩の痛みは、それらの不具合によって起こるものが多いです。
肩の疾患
整形外科の領域
整形外科では主に、筋肉・骨・神経を中心に検査、診断していきます。
一般的な肩こりなどの症状以外にも、しびれの症状が出ている場合は骨や関節の病気も疑われます。肩の痛みが強く、肩の可動域が制限されて日常生活に支障をきたしている方は早めにご相談ください。
加齢による症状
- 五十肩・四十肩(肩関節周囲炎)
- 変形性肩関節症
ケガや故障による症状
- 腱板損傷・腱板断裂
- 反復性肩関節脱臼
- スポーツ障害(野球肩などの投球障害肩)
骨や関節の病気
- 頚肩腕症候群
- 翼状肩甲骨(翼状肩甲)
- 上腕二頭筋長頭腱炎
- 石灰沈着性腱板炎 など
問診・視診・触診を行ったうえで、肩関節可動域や頚椎疾患などを確認し、レントゲン検査を行います。
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)
肩こりの他に肩の疾患で多いのは、肩関節周囲炎と呼ばれるいわゆる「四十肩・五十肩」です。
四十肩・五十肩は、肩を上げたり下げたり動かす際に痛みが生じ、関節可動域の制限がでてきます。50代にさしかかった中年層に多くみられる疾患です。歳を重ねるにつれ、関節を構成する骨や靱帯などの組織も老化していきます。加齢によって衰えた肩関節周辺の組織が炎症を起こし、痛みや可動域制限がでていると考えられます。夜中になると痛み出し、眠れないほどの痛みがあると仰る患者様もいらっしゃいます。
肩関節の動きをスムーズにしている肩峰下滑液包や、関節を包んでいる関節包が癒着してしまうことで動きが悪くなり、拘縮や凍結肩に進行してしまいます。その他にも、肩腱板断裂や上腕二頭筋長頭腱炎、石灰沈着性腱板なども肩関節に痛みが生じるため、レントゲン検査などの画像診断で判別を行います。
それ以外の要因
内科系疾患による問題
例えば更年期障害や高血圧などの疾患をお持ちの方は、肩に痛みを感じることがあります。
心臓の病気によって左肩に関連痛が出たり、同様に消化器の病気によって右肩に関連痛が出ることもあります。
単に肩こりと思っていても、全身の何らかの疾患が関与していたということは少なくありません。症状だけでは骨や関節の症状と区別が付かない場合もありますので、その際は、より精密な検査を行います。
首の疾患
整形外科の領域
首の痛みの原因は多種多様です。整形外科では主に、筋肉・骨・神経を中心に検査、診断していきます。中には皮膚や血管疾患、リンパ腫の腫れなどが原因となるケースもあります。
ケガによる症状
- 交通事故によるケガ(むち打ち症)
- 寝違え
加齢による症状
- 骨や腱の老化
- 椎間板の変性
骨や関節の病気
- 頚椎症
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 頚肩腕症候群
問診・視診・触診を行ったうえで、肩関節可動域や頚椎疾患などを確認し、レントゲン検査を行います。
頚椎椎間板ヘルニア
背骨をつなぐクッションの役割を担う「椎間板」と呼ばれる場所があります。
加齢によって椎間板が変形し後方に飛び出てしまうと、神経根や脊髄が圧迫されて「頚椎椎間板ヘルニア」を発症します。
30〜50代では突然発症することが多く、日頃の姿勢の悪さや、スポーツなどによる負荷が原因となることもありますので注意しましょう。
頚椎椎間板ヘルニアは、首(頚椎)を後ろや斜め後ろに反らした際に、手(腕)に痛みやしびれの症状が現れます。手足の感覚や腱反射の異常などで診断をすることもあります。
神経根の障害により、首や肩、腕にしびれや痛みが生じて、ボタンをかけるなどの指先を使った動作が困難になってしまう患者様もいらっしゃいます。脊髄の障害によって足のもつれや歩行障害が出ることもありますので、早めの治療が大切です。
それ以外の要因
単に首に痛みを感じるだけではなく、
- 発熱
- 頭痛
- 吐き気
など、他の症状を併発している場合は、筋肉や骨以外にも別な要因(疾病)が疑われます。
より精密な検査が必要と判断した場合は、専門医をご紹介させていただきます。
血管・脳の障害
くも膜下出血などの脳障害は、強い頭痛の症状が出ます。出血の度合いが軽度の場合は、軽度の頭痛や首の痛みを感じることがあります。
また、頭蓋骨と脳の間にある髄膜(脳を包み込んで保護している膜)が細菌やウイルスによって炎症を起こすと、首を動かした際に強い痛みを感じることがあります。
甲状腺・リンパ節
甲状腺とは、喉ぼとけの下にある蝶のような形状をしている臓器です。感染症などで甲状腺が強い炎症を起こすと、首周辺に痛みや腫れを感じます。同様に感染などの影響によってリンパ節が腫れると、首に痛みを感じることがあります。
皮膚疾患
強い痛みを伴う代表的な皮膚疾患である帯状疱疹は、皮膚に湿疹やできものができた際に首にも痛みが現れることがあります。
首肩の診断・治療および予防
診断・治療について
まずは問診・診察によってお体の状態を確認していきます。肩こりや首こりの場合は、触診で肩周囲の筋肉の圧痛を確認し、肩関節可動域や頚椎疾患の有無を診断できます。
肩関節に痛みを感じる方は、レントゲン検査や超音波検査などを併用して鑑別を行います。五十肩による肩関節の関節包や滑液包の炎症や、上腕二頭筋長頭腱炎や石灰沈着性腱板炎などの診断ができます。
なかには自然治癒する場合もありますが、放置していると日常生活に支障が出てしまうことも少なくありません。気になる症状がある場合は、早めに受診してください。
保存療法
肩こりなどの血行不良による症状の場合は、筋肉の緊張を和らげるマッサージ療法や温熱療法、物理療法によって改善を図ります。
一方で炎症によって痛みが強く出ている場合、急性期は基本的に安静をとります。また消炎鎮痛剤の内服や局所麻酔剤による注射など、対症療法によって痛みを和らげます。
リハビリテーション
急性期を過ぎたら、運動療法・物理療法などによるリハビリを行います。当院にはリハビリを専門的に行う理学療法士が在籍しています。
運動療法
局所的、または身体全体を動かし、症状の緩和、運動機能の回復を目指します。症状によって、牽引療法なども取り入れます。
物理療法
低周波治療器・温熱療法機器などの医療機器を用いて、疼痛の抑制と緩和を行います。
予防/生活習慣の見直し
スマホを保有する方が増え、長時間の使用によって、首肩にストレスがかかっている方は多くなっています。これらの症状はストレートネック(首が真っ直ぐになった状態)が誘発している症状とも考えられます。
慢性的な肩こりも同様です。普段から同じ姿勢で長時間なにか作業をしたり、猫背などの姿勢不良が習慣化したりと、日々の生活の中に痛みを誘発する要因が隠れています。また、鞄などを片側だけで持つ癖も同様に、肩まわりの筋肉へ負担をかけます。
首や肩に負担がかかり続けると、筋肉が緊張や血行不良が生じて痛みが現れます。また、ふとした動作の時に首を痛めてしまうことがあります。
とくに体に負担をかけるような動作をしていなくとも、運動不足や冷房などによる冷えも血行不良につながり、筋肉が緊張しやすくなります。
こんな癖や習慣はありませんか?
- パソコンやスマホを長時間使用している。
- うつむく・猫背になる姿勢を続けている。
- 運動する機会がなくなってしまった。
- 枕が高すぎる、身体に合っていない。
- 冷房の効いた部屋にいることが多い。
心当たりのある方は、筋肉にストレスとなっている悪習慣を改善することが重要です。
首こり・肩こりを予防するために
- 長時間、同じ姿勢を続けない。
- 適度にストレッチを行う。
- 肩を温めて、筋肉の血行をよくする。
- 入浴をして身体全体を温める。
- 運動習慣を身につける。
などによって、筋肉の緊張を和らげることができます。
精神的なストレスなどによって、首や背中が緊張している状態に陥ることもあります。上手にストレスと向き合い、自分にあったストレス解消法を取り入れるなど、日頃の生活習慣を見直してみましょう。